山林や相続した土地の管理をしていると、どうしても困ることがあります。
それは、地上から見える範囲には限界があることです。
山林の入口までは車で行けても、その先は草木が生い茂っている。
斜面が急で簡単には入れない。
そもそも、どこまで自分の土地が続いているのか感覚的につかみにくい。
山の中を歩き回って確認することももちろん大切なのですが、広い土地になると、それだけでかなりの時間がかかります。
私たち自身、現場で山林を見ながら、
「ここ、一度上から全部見てみたいな」
と思うことが何度もありました。
そこで、栃木山林相続地管理センターでは、山林や相続地の状況を確認する一つの方法として、ドローンによる空撮も取り入れています。
今回掲載している写真も、実際に私たちがドローンを飛ばして撮影したものです。
実際に飛ばしてみて感じたのですが、これは想像していた以上に便利でした。
単純にきれいな景色を撮るためだけの道具ではありません。
山林管理という仕事との相性が、とても良いのです。
地上から見る山と、空から見る山はまったく違います
道路から山を見ると、一面が木に覆われているので、
「この辺一帯が山なんだな」
くらいにしか見えないことがあります。
ところがドローンを上げてみると、景色が一気に変わります。
山の形。
田畑との位置関係。
住宅地。
道路。
鉄塔。
森林の切れ目。
開けている土地。
建物。
周囲の土地利用。
こうしたものが、一枚の写真の中に入ってきます。
初めて上空から自分たちの周辺を見たときは、
「こんなふうにつながっていたのか」
と、少し感動しました。
普段、車で何度も通っている道路も、上空から見ると位置関係が一目で分かります。
地上では離れているように感じていた場所が意外と近かったり、反対に、すぐ裏だと思っていた山がかなり奥まで続いていたりします。
地図を見るのとは、また少し違います。
地図には道路や地番がありますが、実際の木の状態や現在の土地の姿までは分かりません。
航空写真も便利なのですが、撮影された時期によっては現在と状況が違うことがあります。
その点、自分たちで飛ばしたドローンなら、**「今日、この土地がどうなっているのか」**を写真として残せます。
これは山林管理ではかなり大きな意味があると感じています。
相続した山林ほど、一度上から見ておく意味があります
山林を相続された方の中には、
「実は自分の土地をちゃんと見たことがない」
という方も少なくありません。
これは決しておかしなことではありません。
親御さんや祖父母が所有していた土地を相続した場合、本人がその山へ行ったことがないケースもあります。
固定資産税の書類には山林の地番が書いてある。
公図もある。
登記もある。
でも、
「実際にはどんなところなの?」
と言われると分からない。
私たちは、こういう状態をできるだけ減らしたいと思っています。
もちろんドローンを飛ばしただけで境界が確定するわけではありません。
空撮写真だけで測量の代わりになるものでもありません。
ただ、
自分が相続した土地がどんな場所にあり、周辺がどうなっているのかを把握するための資料
としては、とても分かりやすいです。
山のどちら側に住宅があるのか。
道路からどのくらい奥なのか。
近くに農地があるのか。
森林がどこまで続いているのか。
人が入りやすそうな場所はどこなのか。
こうしたことを大きな視点で見ることができます。
山林は地上にいると、とにかく木しか見えません。
上空へ少し視点を移すだけで、土地全体の意味が見えてくることがあります。
「山林の入口が分からない」という問題にも役立ちます
相続した山林でよくあるのが、
「土地はあるけれど、どうやって入るのか分からない」
というケースです。
昔は山仕事に使っていた道があった。
軽トラックが通っていた。
人が歩いていた。
ところが何十年も使わないうちに草木が伸び、道そのものが分からなくなってしまいます。
地上から探そうとするとかなり大変です。
藪の中へ入って、
「昔の道はこっちかな」
と探していかなければなりません。
もちろん最後は現地確認が必要ですが、上空から見てみると、森林の中にわずかな切れ目が見つかる場合があります。
林道につながっている場所。
少し木が薄くなっている場所。
昔使われていたような土地の形。
こうしたものを先に把握できれば、闇雲に山の中へ入るよりずっと効率的です。
山林の管理というと、草刈りや伐採といった「作業」が注目されがちですが、その前に大切なのは、
どこから入り、何を確認し、どこまで作業するのか
を考えることだと思っています。
ドローンは、その最初の情報収集にかなり向いています。
不法投棄や土地の異変も、「定期的に比べる」ことができます
以前の記事でも書きましたが、人が入らなくなった山林では不法投棄が問題になることがあります。
道路から見えない。
人通りが少ない。
夜になれば誰も来ない。
こうした場所は、残念ながらゴミを捨てる人に狙われることがあります。
もちろん木が生い茂った山林では、ドローンから地面のすべてが見えるわけではありません。
ただ、開けた場所や林道、空き地などについては上から状況を確認できることがあります。
何より便利なのが、記録を残せることです。
例えば今年の夏に撮影した写真がある。
翌年、同じような場所から再び撮影する。
比べてみれば、
「ここに以前なかった物がある」
「木が倒れている」
「この場所だけ急に開けた」
「土の色が変わっている」
といった変化に気づきやすくなります。
人間の記憶は意外と曖昧です。
一年前に見た山の状態を正確に覚えている人は、ほとんどいないと思います。
私たちも、
「ここ、前からこうだったかな?」
と思うことがあります。
でも写真があれば確認できます。
これは本当に大きいです。
台風や大雨の後にも、確認方法の一つになります
山林では、天候による変化も無視できません。
大雨。
強風。
台風。
積雪。
こうした自然現象の後には、木が倒れたり、枝が折れたり、地面の状態が変わったりすることがあります。
特に山林の中では、倒木が林道を完全にふさいでいても、入口からは分からないことがあります。
実際に奥まで歩いて初めて、
「ここで通れないのか……」
となることもあります。
状況や飛行できる環境にもよりますが、安全を確認したうえで上空から見られれば、現地へ人が入る前に大まかな状態をつかむことができます。
もちろん、空から見ただけで安全だと判断することはできません。
地面の亀裂や小さな崩れなど、地上でなければ分からないものもあります。
ですので、私たちは
ドローンか現地調査か
という二者択一では考えていません。
ドローンで全体を見る。
必要な場所を絞る。
その後、人が現地へ入って確認する。
この組み合わせが一番現実的だと思っています。
空撮すると、「この土地は本当に何も使えないのか?」という視点も生まれます
これは実際に空から見ていて感じたことなのですが、山林というのは地上から見ていると、
「ただの山」
にしか見えないことがあります。
ところが上空から見ると、周囲との関係が分かります。
大きな道路が近い。
住宅地が近い。
農地に接している。
比較的平らな場所がある。
林道が近くまで来ている。
周囲に事業用地がある。
当然、これだけで土地が開発できるわけではありません。
山林には森林法、都市計画、盛土規制、農地、道路、排水など、さまざまな条件があります。
土地の利用には法令や許認可の確認が必要です。
それでも、
「何もできないと思っていた山林」
と、
「周辺環境まで把握したうえで、何ができるか考えた山林」
では、土地に対する見方がまったく変わります。
売却するにしても同じです。
買う側からすれば、場所も状態もよく分からない山林より、
周辺道路が分かる。
写真がある。
上空からの全景がある。
入口の状態が分かる。
現地の様子が整理されている。
そういう土地の方が検討しやすいはずです。
山林をすぐ売るかどうかは別として、情報を持っておくこと自体が資産管理の一部なのではないかと思っています。
私たちも、実際に飛ばしてみて考え方が変わりました
正直に言うと、ドローンを導入する前は、
「上から写真が撮れたら便利だろうな」
くらいに考えていました。
実際に飛ばしてみると、想像していたものとは少し違いました。
便利なのは写真そのものだけではありません。
土地を見る視点が変わります。
地上ではどうしても目の前の草や木を見ます。
「ここを刈らなきゃ」
「この枝を落とさなきゃ」
という視点になります。
でも一度上空から見てみると、
「この場所を整備するなら、こっちから入った方がいいかもしれない」
「全部刈る必要はないな」
「この道路側だけ管理すれば十分かもしれない」
「ここは住宅に近いから優先して確認した方がいいな」
といった、もう一段大きな視点で考えられるようになります。
山林管理では、この順番が結構大切なのではないかと思います。
いきなり山へ入り、手当たり次第に草を刈る。
それでは時間もお金もかかります。
まず全体を見る。
次に必要な場所を決める。
そして現地作業をする。
ドローンは、この「まず全体を見る」という部分をかなり助けてくれます。
写真を残すことは、将来の家族のためにもなります
相続した山林について、ご本人は場所をよく知っていても、お子さんは知らないということがあります。
「○○の山」
と言われても分からない。
「昔、おじいちゃんと木を切りに行ったところ」
と言われても、もっと分からない。
これでは次の世代が困ってしまいます。
そこで、
地図。
地番。
現地写真。
入口の写真。
そして空撮写真。
こうしたものを少しずつ残しておけば、土地の情報を次の世代へ渡しやすくなります。
特に上空写真は、
「この道路の奥にある山」
「この田んぼの後ろにある山」
という説明がとても簡単です。
私たちは山林を管理する仕事をしていますが、管理とは草を刈ることだけではないと思っています。
「何を持っているのか分かる状態にしておくこと」も管理です。
これから相続が何度も繰り返されていけば、この情報があるかないかで大きく違ってくると思います。
ドローンだけですべてが分かるわけではありません
ここは大切なので書いておきたいと思います。
ドローンは便利ですが、万能ではありません。
木の下の状態は見えないことがあります。
境界杭も、上空から必ず確認できるわけではありません。
土地の境界を確定するものでもありません。
建物の傷みも、最終的には近くで見なければ分かりません。
そして土地の安全性や開発の可否も、空撮写真だけで判断できるものではありません。
だからこそ私たちは、
空から見ることと、地上で見ることの両方が必要
だと考えています。
ドローンは人間の代わりではなく、人間が現場を理解するための「もう一つの目」です。
実際に使ってみると、この表現が一番近いように思います。
山林を「分からない土地」のままにしないために
相続した山林は、今日確認しなかったからといって、明日すぐに問題になるものではありません。
だからどうしても後回しになります。
でも五年、十年と経つと、状況は確実に変わります。
木は大きくなります。
道は草に覆われます。
建物は古くなります。
周辺の道路や住宅も変わります。
その一方で、技術も変わりました。
昔なら人が山へ入って確認するしかなかったことでも、今はドローンを使って短時間で上空から確認できるようになっています。
私たちもまだ、実際の現場で使いながら、
「こんな使い方もできそうだな」
と試しているところです。
でも一つだけ確実に言えるのは、
自分たちの目で現在の土地を確認し、その記録を残せる価値はとても大きい
ということです。
山林は、分からないままにしておくと、どんどん遠い存在になってしまいます。
場所が分からない。
入口が分からない。
状態が分からない。
そして、気付いたころには誰も詳しいことを知らなくなっている。
そうなる前に、一度見ておく。
地上から見る。
そして必要に応じて、空からも見る。
栃木山林相続地管理センターでは、これからも現場で実際に新しい道具を使いながら、山林や相続地を「分からない土地」のままにしないための管理を続けていきたいと思っています。
今回、自分たちでドローンを飛ばして上空から地域を見渡したとき、普段何気なく走っている道路や、いつも見ている山が、まるで別の場所のように見えました。
山の中から見ているだけでは分からないことが、本当にたくさんあります。
少し大げさかもしれませんが、
山林管理にも「空から見る時代」が来たんだな。
そんなことを感じた一日でした。
栃木山林相続地管理センター
住所:栃木県日光市川室862-3
電話番号:050-6869-3646
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